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仙台高等裁判所 昭和26年(う)744号 判決

控訴人 被告人 北上国衛 秋山五郎丸

弁護人 布施辰治

検察官 吉岡述直関与

主文

本件控訴はいずれもこれを棄却する。

理由

弁護人布施辰治の控訴趣意及び被告人秋山の控訴趣意はそれぞれ別紙記載の通りである。

同弁護人の控訴趣意第一点について。

しかし、刑事訴訟法第三百三十五条第二項に所謂犯罪の成立を妨げる理由となる事実の主張とは、犯罪構成要件以外の事実であつて法律上犯罪の不成立に帰すべき理由である事実上の主張の意義に解すべきものであるから、本件に於て、所論の日本電気産業労働組合東北地方本部福島県支部猪苗代分会(以下単に電産労組猪苗代分会と略称する)が労働関係調整法(以下単に労調法と略称する)第三十九条第一項の「労働者の団体」に該当しないとの主張は、右のいわゆる犯罪の成立を妨げる理由となる事実上の主張に該当しないこと明かであるのみでなく、原判決の所論説示は、不完全ではあるが電産労組猪苗代分会が労調法第三十九条第一項の「労働者の団体」に該当するとの趣旨であると認められないこともないから、原判決には所論のような違法はなく、論旨は理由がない。

同弁護人の控訴趣意第二点及び被告人秋山の控訴趣意(1) 点について

法人たる単一労働組合の構成分子であるその支部乃至分会が、組合の決議に基き組合本部の指令に従い本部と一体となつて争議を行う場合には、労調法第三十九条の団体責任を問われるものは組合(本部)であるが、組合の決議に基かず若しくはその決議に違反し又はその決議に基く組合本部の指令に違反して、即ち組合本部の統制に違反して、支部乃至分会が本部と独立し独自の決定に従て争議を行う場合には、右争議に付組合本部に特に責むべき事由の認められぬ限り、労調法第三十九条第一項の団体責任の主体となるものは、その支部乃至分会であると解するのを相当とする。蓋し、労調法第三十九条第一項の規定は労働者の団体にも同法第三十七条第一項違反行為に付責任ある行為の主体たることを認め、それは規定自体からみても所謂転嫁罰規定でないこと明かで、それ自体一つの独立的犯罪を規定したものであり、違反行為についての眞の責任者を処罰しようとするのがその趣旨であると共に、同条項は単に労働者の団体と規定し、同条第二項と相俟つて、法人でない団体をも包含すること明かであるところ、法人たる単一労働組合の構成分子であるその支部乃至分会も、組合内部の規律の制約の下に、実質上は労働組合法第二条第五条の要件を具備する独立した事実上の組合たる性格を有し、協約能力も団体交渉能力もあり、争議行為の主体となり、調停の申請もなし得るものというべきだからである。本件において電産労組猪苗代分会は中央本部を東京都に置き、全国九地方に各地方本部を、各都道府県に支部を、日本発送電株式会社本店支店支社の所在地に分会を置き、更に各職場別に班を置く構成の全国単一組織の組合たる法人の日本電気産業労働組合(以下単に電産労組と略称する)の一構成分子であるが、自らの組合分会規約を有し、前記労働組合法の要件を具備する事実上の組合たる性格を有し、原審第二回公判調書中証人竹内保の、同第三回公判調書中証人菊池忠雄の、同第四回公判調書中証人池田孝夫の各供述記載によれば、地域的問題に付ては電産労組猪苗代分会執行委員が上位機関との密接な連絡の下に、日本発送電株式会社(以下単に会社と略称する)東北支店猪苗代支社と団体交渉を行い、福島県地方労働委員会に調停申請をしたこともあることが認められ、また、後段認定の如く右猪苗代分会が電産労組中央本部の統制に違反して独自の決定に従て本件争議を行い、しかも右争議に付組合中央本部に何等責むべき事由が認められないのであるから、電産労組猪苗代分会は労調法第三十九条第一項の「労働者の団体」に該当するものというに支障なく、而して被告人北上は右猪苗代分会の執行委員長の職にあつて同分会を代表し、且つ業務を執行し被告人秋山は同副執行委員長として業務を執行し、執行委員長を補佐してきた者であるから、同法条第二項、の「法人でない団体であるときは」の「代表者その他業務を執行する役員」に該当するものというべきである。従て、これに該当するとして労調法第三十九条第一、二項を適用した原判決には所論のような擬律錯誤の違法はなく、論旨は理由がない。

同弁護人の控訴趣意第三点について

労働組合が二個の事件につきそれぞれ別個の争議権を獲得した場合には、一事件に付ての争議が解決したのみでは、その事件についての争議権は消滅しても、他の事件についての争議権は当然には消滅しないというべきであること所論の通りであるとしても、本件において、所論の統一労働協約問題は当時会社側と平穏裡に交渉中であつて、右統一労働協約要求事件につき獲得した争議権を行使すべき事態にはなく、電産労組中央本部も最初より右争議権発動の指令を出しておらなかつたことは、原審第二回公判調書中証人竹中保の、同第四回公判調書中証人池田孝夫の各供述記載により明かであつて(原審第二回公判調書中証人新明一郎の、同第四回公判調書中証人山本安一の各供述記載は措信し難い)、昭和二十五年三月三十日賃金値上及び冬営手当支払要求事件が妥結した当時まで行われていた争議は、右賃金値上及び冬営手当支払要求事件に付獲得した争議権の行使のみなのであり、所論のように前記統一労働協約要求事件に付獲得した争議権をも併わせ行使して両者不可分的に一個の争議をなしていたものとは認められず、他方電産労組猪苗代分会が同年三月三十一日会社に対してなした最低給四千円、新明一郎外七名の休解職者の復職及び馘首は絶対にやらないとの確約を得ることの三項目の要求は、後段第四点に対する判断で説明する如く、新規の要求と認めらるべきもので、同猪苗代分会が同日以降同年四月四日迄なした争議はこの新規要求に基いてなしたものであつて、所論のように既に獲得した統一労働協約要求事件に付ての争議権の行使とは認められないのであるから、原判決が右統一労働協約要求事件に付ての争議権に触れなかつたとしても、所論のような理由不備の違法があるとはいえない。所論は統一労働協約要求事件に付て獲得した争議権を行使したことを前提とするものであつて、採用し難く、論旨は理由がない。

同弁護人の控訴趣意第四点、第五点及び被告人秋山の控訴趣意(2) 点乃至(4) 点について

電産労組が会社に対する賃金値上及び冬営手当支払の要求事件で昭和二十四年十一月十一日中央労働委員会に対し調停の申請をなし法定期間を経過してその争議権を獲得し、之に基き争議中、中央労働委員の斡旋で昭和二十五年三月三十日労使間に、最低給三千円とする全八項目から成る協定を遂げたこと、右争議は妥結したから一切の争議を打切るべき旨の電産労組中央本部の指令が同月三十一日午前十時二十分頃電産労組猪苗代分会に通達されたこと、及びその後同日午後右猪苗代分会から会社猪苗代支社に対し口頭で最低給四千円、新明一郎外七名の休解職者の復職及び馘首は絶対やらないとの確約を得ることの三項目の新要求をなし、同日以降同年四月四日迄従来の争議中電源ストを中止し事務ストを行つたことは、原判決挙示の証拠によりこれを認め得るのであつて、記録を精査しても、猪苗代分会が会社に対し新規の要求をなしたという趣旨の原判決の事実認定に誤があることは認められない。即ち先ず猪苗代分会が会社に対し最低給四千円の要求をなした点に付ては、同猪苗代分会が賃金値上問題に付従来前記組合本部に対し最低給四千円を主張し、同本部もこれを採りあげて調停申請の要求事項としていたとしても、この問題は既に妥結したものである以上、同猪苗代分会が単独に会社に対し、同分会従来の主張を無視した中央の妥結は不満であるから中央の妥結を否認して従来の主張貫徹のためストを続行する旨申入れたことは、同猪苗代分会から会社に対し最低給四千円という新要求をなしたものと認むべきことは疑を容れないところであつてこれを新たな要求ではなく単なる不満の意思表示であるとは到底解するを得ない。尤もその後同年四月十一日猪苗代分会及び会社猪苗代支社との間の交渉で、同分会のなした争議は賃金問題に付てのストでなく、労働協約問題によるスト権の行使であることを同分会が確認したので云々の旨の回答書が、同会社支社から同分会へ交付されたけれども、原審第三回公判調書中証人中山俊夫の供述記載によれば、右は猪苗代分会の従業員に対する右ストの為停止されていた賃金支払問題に付てなされたものであつて、既に同猪苗代分会が独自に新要求に基きなした争議に何等消長を来たすものではない。又前記猪苗代分会から会社に対しなした他の二項目の要求たる新明一郎外七名の休解職者の復職及び馘首は絶対やらないとの確約を得ることの二点は、所論の前記統一労働協約要求事件につきなされた調停申請の中には包含されていなかつたことは、原判決の引用する原審第二回公判調書中証人竹内保の、同第三回公判調書中証人菊地忠雄の、同第四回公判調書中証人池田孝夫の各供述記載及び押収にかかる証第二十一号の調停申請書謄本に徴し、明白であつて、仮に右二項目は猪苗代分会が電産労組中央本部に対し従来主張してきたもので、統一労働協約要求事件に対し潜在的には関連する問題であるとしても、前記の如く電産労組中央本部の調停申請中には何等明確に要求事項となつていないものである以上、猪苗代分会が会社に対してなした右二項目の要求は、前記統一労働協約要求事件の要求事項とは別個の新規な要求であると認むべく、所論のように前記統一労働協約要求事件の要求の継続であるとはなし難い。従て猪苗代分会のなした争議が前記統一労働協約要求事件につき電産労組の獲得した争議権の行使であると認むることを得ない。而して猪苗代分会が電産労組中央本部の指令を無視して単独に原判示争議を為したことを目して、それは単に組合内部の統制違反の問題であつて、労調法第三十七条違反を以て問擬すべきではないとする所論は畢竟独自の見解であつて、既に前段第二点に対する判断で説明した通りであり、採用に由ない。されば原判決には所論のような審理を尽さない事実誤認や法令の適用を誤つた違法はない。

その他の所論については、原審第四回公判調書中証人池田孝夫の供述記載によれば、賃金値上及び冬営手当支払要求事件の妥結の際この問題で馘首はしないということの了解があり、このことは電産労組中央本部から下部組織に伝達されたことが認められ、又その時の中央本部の争議中止の指令は、その文言自体からみて所論のような曖昧なところはみられないのであつて、電産労組中央本部は同猪苗代分会の行つた本件争議に付何等責むべき事由のあることは認められない。論旨はいずれも理由がない。

なお記録を精査してみても、その他判決を破棄すべき法定の事由あることが認められないから、本件控訴は刑事訴訟法第三百九十六条に従い、いずれもこれを棄却すべきものである。

よつて主文の通り判決する。

(裁判長裁判官 中兼謙吉 裁判官 細野幸雄 裁判官 岡本二郎)

弁護人布施辰治の控訴趣意

第一点、本件第一の争点は昭和二十四年四月以降昭和二十五年三月末日迄、被告北上国衛が執行委員長、被告秋山五郎丸が副執行委員長に在職した日本電気産業労働組合東北地方本部福島県支部猪苗代分会が(イ)労調法第三十九条第一項の「労働者の団体」に該当するか否か、(ロ)被告人北上、秋山は同条第二項の「法人でない団体であるときは」の「代表者その他業務を執行する役員」に該当するか否かということであつた。しかるに、原判決は(法令の適用)に於て、慢然「弁護人は、被告人等は電産労組猪苗代分会の代表者ではない、と主張するけれども、判示の通り有罪の事実を認定したので云々」と説明しただけで(イ)について何らの判断をも説明していない。従つて、被告人北上が猪苗代分会執行委員長の職にあり、被告人秋山は副執行委員長として、北上の執行委員長を補佐してきた代表者だからといつて、同条第二項を適用し、各罰金二万円に処した有罪判決は犯罪の構成を阻却する主張について判断を付さない理由不備の失当を免れない。

第二点、更に進んで、原判決の(罪となるべき事実)を熟読すると「被告人等は何れも日本発送電株式会社の従業員であつて、同会社東北支店猪苗代支社に勤務し、電気事業に従事する労働者を以て組織する、日本電気産業労働組合東北地方本部福島県支部猪苗代分会所属の労働者であつて」と判示し、次いで、被告人等の所属するいわゆる「電産労組は中央本部を東京都に置き、全国九地方に各地方本部を、各都道府県に支部を、日本発送電株式会社本店、支店、支社等の所在地に分会を置き、更に各職場別に班を置く構成の全国単一組織の組合で」と判示し、被告人等の所属する猪苗代分会はその一分会で、全国単一組織の電産労組の末端組織であることを認めておる。従つて、原判決は、猪苗代分会の名称も組織も共に電産労組全国単一組織の内部的一機構で、労調法第三十九条第一項を適用する独立の対象となる組織ではないことを認めながら、第三十九条第二項の「法人でない団体であるときは」の「代表者その他業務を執行する役員」として、その刑責を追及したのは擬律錯誤の違法がある。

第三点本件第二の争点は、猪苗代分会の所属する電産労組が昭和二十四年十一月十一日及び十二月十三日中央労働委員会に調停を申請して獲得した争議権が昭和二十五年三月三十日の受諾によつて消滅したかどうかということである。

弁護人及び被告人は、右の争議権を獲得した要求事項中には労働協約問題があつたので、賃銀ベースに関する妥結のみによつて、争議権の全部は消滅しない。賃銀ベースに関する争議権は消滅したが労働協約に関する争議権は消滅しないということを主張し、二つ以上の要求に対する一個のスト行為につき、要求中の一つが妥結したスト中止の場合は、未だ妥結しない要求にもとずくスト行為の中止をも命じたものと解釈しうるや否やということを指摘している。しかるに原判決は、この点についても何らの説明を加えず、慢然被告人等の所属する猪苗代分会が新たな要求をなしたものと認めて三十七条の冷却期間を遵守しないものだと判示したことは、既に争議権を獲得した労働協約に関する要求を貫徹するための争議行為は賃銀ベースの妥結によつてどうなるかという重大な争点を不問に附した理由不備の失当を免れないものと思料する。

第四点、本件第三の争点は、被告人等の所属する猪苗代分会から会社側に対して、新たな要求があつたか否かということである。

労調法第三十七条は「公益事業に関しても労働者は争議権をもつ、たゞ争議行為に入る前に調停に努力しなければならない」ということで、同第三十九条は右規定違反に対する制裁規定であるから、本条の構成は(1) 労働関係に関する新たな主張の不一致が生じたか否か(2) その主張事項につき調停の申請がなされたか否かということである。ところで、本件の場合、十一月十一日の賃銀ベースと冬営手当十二月十三日の統一労働協約及馘首絶対反対の各提訴が共に三十七条の冷却期間を経過して争議権を獲得した二月二十七日の電産中央の第五回執行委員会で別府大会の実力行使が決議され、三月九日の交渉決裂で争議権行使に突入した事実に徴すると、争点の帰結する処は最低四千円という新要求が分会から会社側になされたか否か、及び新明一郎外七名の休解職者の復職と馘首は絶対やらないとの確約を得ることの二項目の要求は、前示の十二月十三日提訴の統一労働協約及び馘首絶対反対の要求の継続であるか否かということである。しかるに原判決は漫然と「最低給四千円、新明一郎外七名の休解職者の復職及馘首は絶対にやらないとの確約を得ることの三項目の要求は、同分会に於ける最低要求であつて、この要求を無視して妥結した中央本部の態度に不満であるとなし、争議打切の指令を無視し、同分会執行委員会に謀り、右三項目の要求貫徹を期し、更に争議行為を継続実施することの決議を経た」という曖昧な判示を以て、猪苗代分会が全然新規の要求をなしたという前提に立つているが、原審公判は顕出した証拠の何れにも被告人等の所属する猪苗代分会が最低四千円の新要求をなしたこと、及休解職者の復職と馘首は絶対にやらないとの二項目は十二月十三日提訴の要求と別個の要求であると認定すべき証拠は存在しない。況んや、暖昧な中央の指令に関連して、猪苗代分会が闘争態勢を維持すべく決議、指令した事実を以て、仮に「争議打切の指令を無視し」たとするも、かゝる組合内部の統制、規律に関する事項に、三十七条違反を問擬することは、甚だしい独断というよりは寧ろ有罪の予断であると云わなければならない。この点に於て原判決は犯罪の成否に関する重要な争点につき充分な審理を尽さない重大なる事実誤認、法令適用の誤りがあるものと考える。

第五点、最後に本件の真相についての弁護人の意見を附加して結論に代えたい。即ち、十一月十一日の賃銀手当と冬営手当、十二月十三日の統一労働協約及び馘首絶対反対の各提訴が共に冷却期間を経過して争議権を獲得した二月二十七日の第五回執行委員会で、別府大会の実力行使が決議され、三月九日の交渉決裂で争議権行使に突入したのであるが、その要求事項は大きく賃銀ベースの問題が主題になつていたにもせよ、冬営手当と馘首反対の二項目がとりのけられる理由のないことは、三要求のからみあつた関係と争議戦術の常識からみて明白です。結局証拠によつて明らかな様に三月三十日二十二時三十分の所謂中止命令が曖昧だつたことが問題です。これは畢竟、「民同ダラ幹」が賃銀ベースの妥結で全労働者の要望を売つたデレ隠しに争議の中止を指令しながら、争議態勢の持続を激励しておる文書の混乱が原因である。従つて、賃銀妥結によつて全部のスト態勢を放棄しなければならないと解釈されなかつた所に、本件猪苗代分会の不平もあり、不満もあり又中止指令の解釈に異論があり、これが解明されるまでに、雪害犠牲者や統一労働協約無視の休解職者七名の犠牲者を出しておるところから、三十一日から四日迄の事務ストが続行されたものと解釈するのが至当です。

次に、本件の経過をみると、四月十日、十一日の同分会と中山支、社長との諒解で円満に解決しているのに、中山支、社長を出し抜いて白川東北支店長から福島県地労委に告発、起訴に到つた関係や、田中清玄一派を現地に潜入させた挑発、その他数限りもない策動、又争議行為としては、最も大衆に無害で、会社側にのみ打撃を与える所謂電源ストを非常に恐ろしいものゝ様に宣伝している事実等に徴しても、本件は、猪苗代分会が全国電産労組の最も尖鋭な闘争を展開し、又同地帯が全国有数の発電地帯であるところから、これを弾圧せんとする政治的隠謀であることは明白です。従つて裁判所がそういう資本家側の弾圧の具に利用されてはならないという裁判の公正と司法の権威のためにも、本件は絶対に無罪であることを主張します。

被告人秋山五郎丸の控訴趣意

(1) 、処罰対象者が違うと考える。電産労組は法人であり全国単一組合である。故に代表者は中央執行委員長である。私等猪苗代分会の委員長副委員長は対象にならない。之は無理に罰せんとする法の曲解と考えます。

(2) 、既に会社側と組合側双方での解決済の点を無視して居る。調印妥結後猪苗代分会のストに就いて会社側は賃金問題のストであるとして賃金支払を停止して居つたのであるが双方の交渉で組合が労働協約のスト権でストをやつて居る事が確認したので賃金が支払れて居る点を見ても既に解決して居る点を取上げてない。

(3) 、法の曲解乱用である。前(1) (2) の点から見て法は神聖に守るべき裁判官が無理に罰を加えようとしか考えられない。

(4) 、身上調査は第一審にて述べた通りであるが父親(六十五才)が半身がきかない状態となつて居る点を付け加えて頂きます。

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